5分で読めるブックレポート

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「思考法」「IT」「事業開発」における基礎知識の本を3日に1冊要約して感想をのせていきます。

「人工知能は人間を超えるか」松尾豊

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著書:松尾豊

1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。
2002年、同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より産業技術総合研究所研究員。
2005年よりスタンフォード大学客員研究員。
2007年より現職。シンガポール国立大学客員准教授。
専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析。

 

 

人工知能とは何か

人工知能の定義は専門家の間でも定まっていない。作者の定義では、人工知能は「人工的に作られた人間のような知能」である。

 

人工知能は4段階に分けることができる。

レベル1 単純な制御プログラム

マーケティング的に「人工知能」と名乗っているものであり、家電製品などのケースがこれに当たる。

レベル2 古典的な人工知能

振る舞いのパターンが極めて多彩なものである。将棋のプログラムや診断プログラムなどがこれに当たる。

レベル3 機械学習を取り入れた人工知能

検索エンジンに内蔵されていたり、ビックデータをもとに自動的に判断したりするような人工知能である。

レベル4 ディープラーニングを取り入れた人工知能

機械学習をする際のデータを表すために使われる変数(特徴量)を学習するものである。

 

「推論」と「探索」の時代

1950年代後半から1960年代が第1次AIブームであった。「人工知能」という言葉が初めて登場したのは、1956年の夏に米国東部のダートマスで開催された伝説的なワークショップである。

人工知能はやがて実現するという楽観的な予測をもとに、野心的な研究が次々と行われた。それが「推論」や「探索」の研究である。有名な例としては「探索木」や「ハノイの塔」が挙げられる。

 

「知識」を入れると賢くなる

1980年代の第2次ブームを支えたのは「知識」である。ある専門分野の知識を取り込み、推論を行うことで、その分野のエキスパートのように振る舞うプログラムである「エキスパートシステム」が開発された。

しかし、知識の数が増え、ルールの数が数万となると、互いに矛盾したり、一貫しなかったりして、知識を適切に維持管理する必要が出てきた。さらに、専門知識だけでなく、より広い範囲の知識を扱おうとすると、途端に知識を記述するのが難しくなった。

そうやって、再びAI研究は冬の時代を迎え、第2次ブームは終わった。

 

機械学習」の静かな広がり

機械学習とは、人工知能のプログラム自身が学習する仕組みである。そもそも「学習する」の根幹をなすものは、「分ける」である。うまく「分ける」ことができれば、ものごとを理解することもできるし、判断して行動することもできる。

機械学習は、大きく「教師あり学習」「教師なし学習」に分けられる。

 教師あり学習

「教師あり学習」は「入力」と「正しい出力」がセットになった訓練データをあらかじめ用意して、ある入力が与えられたときに、正しい出力ができるように学習させる。

画像認識であれば、この画像はヨット、この画像は花といった具合である。

教師なし学習

入力用のデータのみを与え、データ内に内在する構造を掴むために用いられる。データの中にある一定のパターンやルールを抽出することが目的である。

全体のデータをある共通項を持つクラスタに分けたり(クラスタリング)、頻出パターンを見つけたりすることが代表的な処理となる。

 

静寂を破る「ディープランニング」

ディープラーニングは、データをもとに、コンピュータが自ら特徴量を作り出す。人間が特徴量を設計するのではなく、コンピュータが自ら工事の特徴量を獲得し、それを元に画像を分類できるようになる。機械学習では、何を特徴量をするかを人間が決めていた。

実は、ディープラーニングでやっていることは、主成分分析を非線形にし、多段にしただけである。つまり、データの中から特徴量や概念を見つけ、そのかたまりを使って、もっと大きなかたまりを見つけるだけである。

特徴量を学習し、特徴量からモデルを獲得する能力が、人間よりも極めて高いコンピュータは実現可能であり、与えられた予測問題を人間よりも正確に解くことができるはずである。

 

人工知能は人間を超えるか

2045年にシンギュラリティが起きると言われている。シンギュラリティとは、人工知能が自分の能力を超える人工知能を自ら生み出せるようになる時点を指す。人工知能は賢いものをつくり、それがさらに賢いものをつくる。それを無限に繰り返すことで、圧倒的な知能がいきなり誕生する、というストーリーである。

現時点では、人工知能が人類を征服したり、人工知能をつくり出したりという可能性はない。特徴量を見つけることと、自らの意思を持ったり、人工知能を設計し直したりすることは、天と地ほどの距離が離れているからである。

とはいえ、人工知能の可能性を過小評価してはならない。人工知能が社会のインフラになることは確実である。専門家は、ありうる最悪のシナリオを考え、その対応を列挙することも果たすべき役目と考える。

 

感想

人工知能の仕組みまでわかりやすく書いてあって、文系のポンコツでも読める本だった。

あと、日本は人工知能とかの研究はすごく遅れていると勝手に思っていたけど、昔は莫大な資金を投資して研究したり、研究員の多さも他国に対して大きく負けてるわけではないことがわかってびっくりした。そうはいっても、アメリカや中国に比べると、研究員の人材の取り合いには確実に負けてるとニュース記事見てては思う。。

 

 

将来、IoT進んで、ものがネットに繋がれて、データがたまり、そのビックデータで人工知能が正しい解を出せるようになることが一般的になり、生活が効率化されて、もうこの仕組みなしじゃ生きられないってなりそうって簡単に想像できた。これが人工知能が社会のインフラになるっていう意味〜と思った。

なんかそんな未来は怖い感じもするけど、昔の人からしたら、満員電車の中でみんながスマホいじってる今も怖いだろなて思う笑(個人的には、後者の方がすでに怖い笑)