「イシューからはじめよ」安宅和人
著者:安宅和人
1968年、富山県生まれ。東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。3年9カ月で学位取得(Ph.D.)。マッキンゼー復帰に伴い帰国。
脱「犬の道」
生産性の定義とは、生産性 = アウトプット/インプット = 成果/(投下した・時間)。
「バリューのある仕事」とは何か。「バリューの本質」は「イシュー度」「解の質」の二つの軸から成り立っている。
イシューとは以下の二つを満たしている。
- 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
- 根本に関わる、もしくは白黒が8キルしていない問題
まずは一心不乱に大量の仕事をしてバリューを上げる(「解の質」を上げる)のではなく、先に「イシュー度」の高い問題に絞り手をつけるべき。これが脱「犬の道」。
プロフェッショナルとは、労働時間ではなく、どこまで変化を起こせるかによって評価される。
イシュードリブン
イシューを「解く」前に「見極める」ことが重要。
良いイシューの3条件
- 本質的な選択肢である
- 答えが出ると、そこから先の方向性に大きく影響を与える
- 深い仮説がある
- 「常識を覆すような洞察」がある
- 「新しい構造」で世の中を説明している
- 答えを出せる
- 現在の自分の技術・状況で答えを出すことができる
イシュー特定のための情報収集のコツ
- 一次情報に触れる
- 基本情報をMECEに調べる
- 集めすぎない・知りすぎない
イシューが見つからない時のアプローチ
- 変数を削る
- 視覚化する
- 最終形からたどる
- 「So what?」を繰り返す
- 極端な事例を考える
仮説ドリブン①
「イシュー分析」とは、「ストーリーライン」づくりと「絵コンテ」づくりであり、これは解の質を高め、生産性を大きく向上させる。
ストーリーラインづくりの中に二つの作業がある
- イシューの分解
- ストーリーラインの組み立て
イシューを分解するときは、「ダブりもモレもなく」砕くこと、「本質的に意味のある固まりで」砕くことが大切。
ストーリーラインが必要となる理由
- 単に分解されたイシューとサブイシューについての仮説だけでは論文やプレゼンにならないから
- ストーリーの流れによって、以後に必要となる分析の表現方法が変わってくることが多いから
仮説ドリブン②
最終的に伝えるべきメッセージを考えたとき、そういう分析結果があれば相手が納得するかを考えるべき。この分析イメージづくりの作業を「絵コンテ」づくりと呼ぶ。
「絵コンテ」によって、ストーリーラインの個々のサブイシューに対して必要な分析・検証のイメージをまとめることができる。
「絵コンテ」づくりの3ステップ
- 「どのような軸でどのような値を比較するか」を具体的に設計する
- 数字での比較の結果を明確に表現する
- どうやってそのデータを取るのかを明示する
アウトプットデザイン
ストーリーラインと絵コンテに沿って並ぶサブイシューの中から話の骨格で大きな影響力を持つ部分から手をつける。そして、粗くてもよいから、本当にそれが検証できるのについて答えを出してしまう。
実際の分析時のトラブルのさばき方
- ほしい数字や照明が出ないとき
- 構造化して推定する
- 足で稼ぐ
- 複数のアプローチから推定する
- 自分の知識や技では埒が明かない
- 人に聞きまくる
- 期限を切って、解決のめどがつかなければその手法に見切りをつける
丁寧にやりすぎることは、分析の停滞を引き起こすから、快適に答えを出すことを意識する。
メッセージドリブン
アウトプット後の受け手の理想の状態
- 意味のある課題を扱っていることを意識している
- 最終的なメッセージを理解している
- メッセージに納得して、行動に移っている
ストーリーラインを磨く3つのプロセス
- 論理構造を確認する
- すっきりとした基本構造で整理できているか
- 前提が崩れていないか
- 流れを磨く
- 流れが悪いところはないか
- 締まりの悪いところはないか
- 補強が足りないところはないか
- エレベータテストに備える
- 結論を端的に説明できるか
- 特定の部分について速やかに説明できるか
優れたチャートの3条件
- 1チャート・1メッセージを徹底する
- タテとヨコの比較軸を磨く
- メッセージと分析表現を揃える
感想
毎日の自分の行動に「この作業って本当に意味があるのか」、この本的に言うと「これは本当にイシューなのか」と問いかけることが大事だと思った。その考え方を常に思い出せるように、部屋の壁がちょうど黒板になっているので、「イシュー」とでっかく書きました。