「リクルートのすごい構"創"力」杉田浩章
著者:杉田浩章
ボストンコンサルティンググループ日本代表。東京工業大学工学部卒。慶應義塾大学経営学修士(MBA)。株式会社日本交通公社(JTB)を経て現在に至る。消費財、自動車、メディア、ハイテク、産業財等の業界を中心に、トランスフォーメーション、グローバル化戦略、営業改革、マーケティング戦略、組織・人事改革、グループマネジメント等のコンサルティングを数多く手掛けている。
ステージ1「0→1」
メソッド① 不の発見
不を見極める3つの条件
- 見過ごしがちだが、誰も目をつけていなかった不かどうか
- 本当に世の中が解決を求めていて、既存の産業構造を変えるほどの、大きな可能性を秘めているのか
- その不を解消することが、収益に繋がるのか
メソッド② テストマーケティング
良いアイデアを成長可能なビジネスに育てることに主眼を置き、限定的な規模でテストマーケティングを設計する。しかし、VCがスタートアップを事業化し育てるように、「この時期までにこういう状態にならないと撤退」というゲートが段階的に設けられている。
メソッド③ New RING
アイデアが集まったとしても、そのアイデアをどのように事業化に繋げるか、道筋が仕組み化、構造化されていなければ、新規事業は生まれにくい。New RINGは孵化より前の段階の、アイデアを集めて選別し、ブラッシュアップする段階もサポートするし、孵化した後、雛を育てて事業を軌道に乗せるところまでも含む。
ステージ2「1→10」その1
メソッド④ マネタイズ設計の3つのポイント
- クライアントが明確であること
- 「お財布」までが見えていること
- 利益を生むオペレーションモデルが確立できていること
メソッド⑤ フィジビリで価値KPIを探し出す
フィジビリでは、ゴールである最終的な目標値と最も強い因果関係があるのは何かを探っていく。価値KPI(KPIの中でも最も事業価値に直結するKPI)が見つかると、サービスに関わる全員にとって、やるべきこと・やらないことが明確になる。
メソッド⑥ ぐるぐる図を回す
現場と経営層を繋ぐ、縦の情報の行き来を「縦ぐるぐる図を回す」と呼ぶ。異なる役割の社員が一丸となって横方向にも情報をやりとりし、洞察を重ねていく「横ぐるぐる」も存在する。
ステージ3「1→10」その2
メソッド⑦ 価値マネをしつこくやりきる
収益を伴いながら事業を拡大再生産していくために。前のステージ2で発見した「価値KPI」を使ってPDSサイクルを回してマネジメントする。
メソッド⑧ 型化を突き詰める
価値マネを実践するための基本的な行動を「型」に落とし込んで「型化」して広めたり。個人個人が持つ成功体験やノウハウなどを共有する様々な仕組みを持っている。
メソッド⑨ 小さなS字を生み出し続ける
現場の情報からいち早く、成長の原則を捉え、次の一手へ進める。絶えず小さな革新を積み重ね、新たに参入してくる競合に対する競合優位性を保つことができる。
10を超えてさらに飛躍するために
変革にはスピードが重要で、メンバー前人が自律的に速度を上げられる組織能力を磨くことは欠かせない。
市場の不をもう一度見つめ直し、自らの提供価値を再定義する必要がある。
顧客価値の置き換えパターン
- スピードで圧倒する
- マネタイズポイントを変える
- 周辺領域に拡大する
- 他社のビジネスプロセスに入り込む
経営陣の役割
人を活かす
ただ現場に権限を委譲して自由にやらせることでは、人を活かせない。共通の理念を徹底的に刷り込み、個人を追い込むことでその潜在力を引き出さなければならない。
若さを保つ
常に内部での競争を奨励し、成功者を称え、全員がそこから学べる仕組みを埋め込んでおくことが、組織の若さを保つために有効である。
器をそろえる
未来を予測し、必要になるであろうケイパビリティを磨く。大きな成長機会や自社にとっての脅威となりうる存在を取り込む。
感想
リクルートの各メソッドについて、実際のリクルートのサービスを例にして書かれていて、理解しやすかったです。「世の中の全ての事業はこのモデルに当てはめることができる。」というリボンモデルに沿った説明になっていました。下の図、リボンの形してますよねw
リクルートホールディングス アニュアルレポート2016 「OUR GROWTH ENGINE」より
この記事読んでわかったと思うんですが、リクルートは用語を作って共通認識をとっていくのが得意と言われていて、来年の春から働くのでこれ読んで予習しておこうと思います。