「グロースハッカー」ライアン・ホリデイ
著者:ライアン・ホリデイ
メディア戦略家。19歳で大学を中退した後、多数のベストセラー作家、企業、人気ミュージシャンのアドバイザーを務める。現在はアメリカン・アパレルのマーケティングディレクター
イントロダクション
製品開発とマーケティングを完全に別のプロセスとして行う方法はもう古い。
グロースハッカーの目標は、製品自体を数百万人の顧客にリーチする自己永続マーケティングマシンにすることだ。
ー アーロン・ジーン
本書では、グロースハックという新しい手法を紹介する。従来のマーケティングよりも流動的な作業で、ユーザーとインタラクティブに進めるものである。
グロースハックとは、ツールキットというよりも、マインドセットだ。
ー アーロン・ジーン
グロースハックのマインドセットは、製品開発の数週間前に始まるのではなく、製品の開発・設計フェーズから始まる。そのプロセスに沿って、本書はそれを章ごとに説明している。
まずは人が欲しがるものを作れ
マーケティングで絶対やってはいけないことは、 誰が欲しがらないものを売ろうとすることである。
本書で紹介されているairbnbとInstagramはいずれも、グロースハッカーが「プロダクト・マーケット・フィット(PMF)」と呼ぶレベルにサービスが到達するまで、長い時間をかけて調査とイテレーションを行なっている。PMFとは、サービスと顧客のニーズが完全にシンクロする状態を指す。
PMFへの到達はマーケターの仕事である。サービスが開発されてからではなく、アイデアの提供、ルールとガイドライン、そしてフィードバックによって開発に影響を与えていくべき。
自分なりのグロースハックを探して
製品の立ち上げにあたって、これまでマーケターに期待されてきた、無からでっち上げる派手なキャンペーンは必要ない。華やかなグランドオープニングは必要ないが、我々のコアユーザーの関心をとらえるための戦略的なオープニングが必要。
そして、いかに低コストでふさわしい相手に訴求できるかも重要。
実際の初期ユーザーの獲得方法の例
- 招待制にしてプレミアム感を醸し出す【Mailbox】
- サービスが実際より人気と活気が溢れるように見せるため、数百の偽プロフィールを作る【reddit】
- 製品を使えるサービスを一つに絞り、そのサービスの成長に便乗する【PayPal】※PayPalはeBayに便乗した
- サービス場でクールなイベントを開催して最初のユーザーを巻き込む【Myspace, Yelp, Udemy】
- 影響力のあるアドバイザーや投資家を引き込んで、その財力ではなく支持者や名声を利用する【About.me, Trippy】
ここで紹介した手法は全て、「評判を広めよう」とはしていない。大事なのは、何人に認知されるかではなく、何人がサインアップするか。
ユーザーは引き込まなければならない。いいアイデアだけでは不十分。
事業を成功させて収益を上げるためには、マーケティングの方法を、潜在顧客の購買行動プロセスに合わせる必要があるー ブライアン・ハリガン
クチコミを巻き起こせ
クチコミが生まれるのは運ではない。魔法でも、偶然でもない。なぜ話題になり、共有されるかには科学的な理由があるのだ。レシピがあり、公式すらある。
ー アーロン・ジーン
グロースハッカーと一般のマーケターの違いは、グロースハッカーはクチコミを成り行き任せにはできないと理解している点。
グロースハッカーは、ブランディングのために全国ネットのテレビ番組での製品露出の権利を買ったりはしない。その代わりに「ソーシャルカレンシー(社会的通貨)」を無料で獲得する方法を考える。
"ゴー・バイラル"したければ、クチコミの種を製品の中に仕込む必要がある。
ドロップボックスの例を挙げると、サービスのトップページに小さな「無料で容量アップ」ボタンを追加する というシンプルなことを行なった。このプログラムでは、紹介した友達が会員登録後に、友達も自分も無料の500MBのストレージ容量を獲得できるというもの。ボタン設置後に、新規加入ユーザーはおよそ60%増加した。
つかんだユーザーを手放すな
企業はサービスそのものの改善に投資する必要がある。ユーザーがそのサービスから離れられなくなる(そして友達を誘う)まで改善するべき。ビジネスにとっては既に手の内にあるものを定着させたり、最適に改善したりする方が重要。
※コンサルティング会社のBain & Companyによると、顧客の定着率10%アップは、企業価値30%アップに相当する
※調査会社のMarket Metricsによると、既存顧客が購入する可能性は60~70%なのに対し、新規顧客のそれは5~20%だとしている
同時に、ROI(投資収益率)の最大化を目指し、最も効果的なポイントに全精力を注ぎ込むことにも注意すべき。
最後に
例えば、本の出版のような保守的なものでさえ、グロースハックのアプローチを採用できる。
マーケティングとは、顧客の獲得である。そう考えれば、顧客を獲得するための行動全てがマーケティングと言える。
マーケターは人間であり、人間は常に間違えるもの。直感で決めてもうまくはいかず、古いやり方での過ちは非常に高くつく。グロースハックは、失敗のコストを削減し、新しいことを試す自由を与えてくれる。
感想
僕は「グロースハッカー」という言葉を大学1年の時に初めて聞いて、システムに不法侵入して悪いことをする「ハッカー」とは意味が違うんだと思ったのを覚えている。その時にこの本も紹介されていたので、その時読んでおけばよかった。。
自分もこのブログをグロースハックし、1ヶ月間のUU数(ユニークユーザー)を増やそうと思った。今日から「Growth Hacker Nagai」。なんかかっこいい。