5分で読めるブックレポート

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「思考法」「IT」「事業開発」における基礎知識の本を3日に1冊要約して感想をのせていきます。

「2030年 ジャック・アタリの未来予測」ジャック・アタリ

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著者:ジャック・アタリ

1943年アルジェリア生まれ。フランス国立行政学院(ENA)卒業、81年フランソワ・ミッテラン仏大統領顧問、91年欧州復興銀行の初代総裁などの要職を歴任。政治・経済・文化に精通し、ソ連の崩壊、金融危機、テロの脅威、ドナルド・トランプ米大統領の誕生などを的中させた。著書は『、21世紀の歴史』、『金融危機後の世界』、『国家債務危機ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか?』、『危機とサバイバルー21世紀を生き抜くための〈7つの原則〉』(いずれも作品社)、『アタリの文明論講義:未来は予測できるか』(筑摩書房)などが多数ある。

 

 

憤懣(ふんまん)が世界を覆い尽くす

世界には善をなす手段は数多く存在し、善をなす活動家たちは増え続けている。だが現在、世界は悪の勢力によって支配されている。

 

順調に見える世界

人類の暮らしは、今後も改善され続けるであろうことは、膨大なデータによって証明されている。

向上し続ける生活水準、平均寿命。過去ではごく一部の人々のためのものだった財やサービスは、今日ではほとんどの人々の手に届くようになった。

民主主義は広まり、それによる人々の連帯感は強まった。善意の活動が盛んになり、極端な暴力も減少した。

 

世界では多くの重要なことが、悲惨な状態になりつつある

しかし、極めて心配な要素も各方面にあり、数々の進歩が台無しになる恐れもある。

急激な高齢化、医療サービスの乏しい地域での人口爆発。加えて、富の偏在は加速し、富裕層上位10%が世界の富の87.7%を所有している。

各国ごとでも、懸念材料は山積みしている。超大国アメリカの危うい経済成長、不透明な中国の経済成長、政治力のないヨーロッパなどなど。

社会と家族の崩壊により、カルトと原理主義者も台頭してきた。テロ集団のような非国家組織も経済力を手に入れるようになったのだ。

 

解説

簡潔にいうと、現状をこのように言い表せる。

  1. 現在までのところ、政治と経済の自由に基づく社会組織は、世界で最も優れた制度だったことが明らかになった
  2. しかし今日、このシステムは昨日不全であり、世界は奈落の底へ突き落とされる寸前である。
  3. 今日、市場はグローバル化され、法の支配のない状態にある。
  4. 国内に閉じこもる民主主義はますます空虚になり、民主主義が現実に対して及ぼす影響力は減る一方である。
  5. 袋小路に陥り、怒りが爆発する。
  6. 自由を断念することなく、「大惨事」を回避するために二つの解決策がある。
    1. 市場が解決してくれると期待し続けること
    2. 人類の存在意義を維持すること

 

九九%が激怒する

2030年までに、自己の運命を自分で選択できない(自己実現できない)ような地球規模の地政学的な機器が発生する恐れがある。そなれば、社会に蔓延する憤懣は激怒に変わる。

 

世界をより良い方向に向かわせる

人口爆発による経済成長と、イノベーションによる社会調和の源泉が変化するのはほぼ間違いない。医療、教育、農業、娯楽、芸術などいろんな分野でポジティブな変化も起きる。

このように経済成長をもたらす戦略的で地政学的な講中感が始動するなら、深刻な経済危機や世界的な紛争の危険性は遠のくだろう。ところが実際は、これらだけでは、利己主義がはびこる社会の逸脱や、地球規模の法整備のなさがもたらす害悪を補うには不十分である。

 

このままでは世界は大混乱へと向かう

今まで述べたポジティブと思われる要素は、害悪をもたらす。

技術進歩がどれだけ魅力的であっても、それにより雇用は破壊され、富のさらなる集中が加速する。

従来の理論的枠組みに従い、株主と消費者は、従業員と選挙民よりも大きな影響力を持ち続ける。こうした力関係が消費と賃金、つまり物価と雇用に関する条件を決定する。すなわちデフレが蔓延する。

 

激怒の社会構造

現代の二つの側面が、激怒が蔓延する社会をもたらす。

一つ目が、個人の自由を求めるイデオロギーが支配的になること。このイデオロギーにより、全員が自己の即時的な欲望を満たすための手段として民主主義を利用する。

二つ目が、私的及び公的な暴力が横行する条件が揃うこと。世界的な法規制のない市場がグローバル化し不均衡が増幅することによって起きる。

 

世界中で怒りが爆発

このような状況では、経済と政治の当事者は相互依存を強るため、法の支配は虚弱になる。アシャの幸福を願うという利他主義の紅葉は理解されない。今まで述べたように。些細なことであっても、怒りが爆発する。

 

明るい未来

未来は過去の野蛮さを蘇らせる場ではなく、誰もがこの世界でいきいき過ごせるようになると、我々は期待すべき。

 

自分自身に働きかける

集団の活動に大きな変化が必要な際には、全ては必ず個人が変わることから始まる。自分自身に働きかけることが、世界に対して行動を起こすことだと気づくはずである。

 

世界のために行動を起こす

意を決した大勢の利他主義者たちが一致団結しねければならない。そして、彼らが、野心的で調和のとれた一貫性のある計画を適用するように働きかけなければ、世界を変える行動は効果を発揮しないだろう。

この行動は、地球規模の法の支配を基盤にしなければならない。

もし、地球規模の法の支配が確立されたのならば、我々は、自分たちの憤懣を行動に導けるはずである。そして、自己の「自分自身になる」を我が物にすることができる。

 

感想

この本は一言で言うと、ツンデレ本だった。現状がいかに危機的な状況であるかを細かく説明し、最後には未来に希望を持たせようと僕を勇気づける言葉が続いていた。。

今の世界がどんな状態なのか、ざっくりしか書けなかったけど、本当は詳しく書いてあって、その現状からどのような未来が予想できるかまで書いてあって本当に勉強になった。最近は、こういうスキルが欲しいとか目先の、かつ自分の未来しか想像してなかったけど、縦を時間、横を分野とするなら、もっと縦横共に長く広く世の中を見るべきだと感じた。 

 

本の中に「誰もがこの世界でいきいき過ごせるようになると、我々は期待すべきなのだ。」という言葉があって、心が乾燥してひび割れしてるような感受性少なめの僕の心にも響きました。

その時に、これを思い出しました。


落ち込んだ後に見ると心に響く松岡修造メッセージ

僕が尊敬する松岡修造先生の動画です。5分25秒のタイミングでどうか見てください。

どうやったら人はいきいき生きられるのか。落ち込んだ時、見ると絶対やる気出ます。毎朝見てます(真顔)。